TECHNOLOGY

Pipeline

フックス角膜内皮ジストロフィの治療薬の開発スケジュール

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角膜内皮治療用細胞製品の開発スケジュール

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Context

角膜と角膜内皮

角膜は眼球の一番前にある部分です。車のフロントガラスに例えられる透明な組織です。角膜は外の光を眼の中に取り入れるために透明である必要がありますが、この透明性は角膜の裏側(眼内側)にある角膜内皮の働きによって保たれています。

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角膜内皮障害

角膜内皮が病気、眼の手術、怪我などで傷んでしまうと角膜が白く濁ってしまい、視力が下がってしまいます。このような状態を角膜内皮障害や水疱性角膜症といいます。角膜内皮障害の原因の主なものは、フックス角膜内皮ジストロフィ、白内障などの眼科の手術、角膜移植後の拒絶反応などです。特に、フックス角膜内皮ジストロフィは世界の角膜移植の約40%の原因となっています。

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角膜内皮障害の治療

現在のところ角膜内皮障害の治療は、お亡くなりになった方から角膜を臓器として提供していただき角膜移植を行うのみです。このような移植用に提供された角膜のことをドナー角膜と言います。

ドナー角膜は世界中で不足していて、角膜移植を必要としている世界の患者さんの70人に1人だけが移植を受けられるという状況です。日本でも、ドナーやドナーの家族、アイバンクのご尽力のおかげでドナー角膜が提供され移植に用いられています。しかしながら、半分以上のドナー角膜はアメリカなどからの輸入に頼っている状態です。

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Our
Solution

フックス角膜内皮ジストロフィの治療薬製品候補(開発コード:AE001とAE002)

フックス角膜内皮ジストロフィ

欧米人では40歳以上の4%がかかっているとされる角膜内皮の病気です。早期は自覚症状がありませんが、進行すると眩しさ、視力低下を感じるようになります。さらに進行すると眼の痛みや涙も出てきて、角膜が白く濁ってしまうこともあります。

比較的早期の視力の良い時期に発見されることも多いですが、治療薬がないために、視力が低下して生活が不自由になってから角膜移植が行われています。世界中で行われている角膜移植の原因の第一位であり、角膜移植に代わる治療薬の開発が強く期待されています。

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治療薬候補の発見

同志社大学生命医科学部では、フックス角膜内皮ジストロフィの病気の原因の解明と、治療薬の開発を行ってきました。フックス角膜内皮ジストロフィの患者さんが角膜移植を受けられるときには、患者さんの病気で傷んだ組織を取り除きますが、同意を得た上で本来廃棄する組織を研究に用いました。患者さんのフックス角膜内皮ジストロフィで傷んだ角膜内皮細胞を培養して研究に使いました。この患者さん由来の細胞は研究室で培養している状態でもフックス角膜内皮ジストロフィの特徴を持っており、研究を進める上でとても大切なモデルとなりました。

この細胞を使って、フックス角膜内皮ジストロフィの治療薬となり得る薬を一気に調べました(薬物スクリーニングといいます)。薬物スクリーニングの結果、シロリムスという薬剤が角膜内皮細胞を死なないようにする効果があることがわかりました。

アクチュアライズ株式会社は同志社大学からシロリムスをフックス角膜内皮ジストロフィの治療薬として使用することに関する特許の独占的実施権を取得し治療薬として開発を進めています。

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シロリムス(開発コード:AE001)
2021年11月に、アクチュアライズは参天製薬株式会社(本社:大阪市)と、フックス角膜内皮ジストロフィを対象としたシロリムス点眼液(Santen開発コード:STN1010904、アクチュアライズ開発コード:AE001)の第Ⅱ相臨床試験(Phase Ⅱa / POC試験)を開始するための共同開発契約を締結しています。2022年6月には米国で実際に治験が開始されました。現在、フランス、インドでも治験開始のための準備を進めています。治験で安全性、有効性が証明されたら世界初となるフックス角膜内皮ジストロフィの治療薬が発売されることになります。
AE002(開発コード:AE002)
AE002もフックス角膜内皮ジストロフィ患者の進行予防に効果があることが期待される製品候補です。現在、治験開始のための準備を進めています。

角膜内皮障害に対する再生医療等製品候補(開発コード:AE101)

角膜内皮再生医療の臨床研究の成功

アクチュアライズ株式会社の創業メンバーである小泉範子と奥村直毅は眼科専門医であり、角膜内皮疾患に対する薬物治療、再生治療の研究を行ってきました。再生医療を実用化するために、これまで非常に難しかった角膜内皮細胞の培養に成功しました。さらにROCK阻害剤という薬と同時に眼内に注射することで角膜移植の代わりになることを発見しました。

これらの技術群は京都府立医科大学に移転され、世界初の細胞注入療法のfirst-in-man(ヒト初回投与試験)が2013年12月に開始されました。その後現在までに50名を超える患者さんの治療に成功し有効性と安全性が確認されています。

角膜移植が必要であったこれらの患者さんが再生医療で視力を取り戻したというのは驚くべきほどの成果でした。この再生医療は、注射針を使って細胞を眼内に注入するというものであり、10分以内に治療が終了する患者さんに負担が少ないものです。さらに、解剖学的にほぼ正常な角膜の再建が可能ですので視力の回復も理想的であると考えられます。

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アクチュアライズの開発する角膜内皮細胞凍結製剤

京都府立医科大学附属病院で行われた臨床研究の成功を受けて、現在世界中で角膜内皮障害に対する再生医療への期待が高まっています。

アクチュアライズ株式会社では、培養した細胞を凍結して、必要なときに解凍して注射するだけの製剤の開発を行っています。実用化されれば、世界中に製品を届け、必要なときに患者さんの治療を行うことができるようになります。現在、日本での治験開始のための準備を進めています。

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ドナー角膜不足が解決できる

私達は角膜内皮細胞の大量培養の開発に成功しました。現在、1人のドナーから提供された角膜から角膜内皮細胞を培養して、50-80人の治療が可能となる製品を作ることができます。

角膜移植を必要としている患者さんの70人に1人にしかドナー角膜がない状況ですが、私達の技術を使えば理論的には世界のドナー角膜不足を解決することができます。私達の細胞製品は凍結して保存することができるので、世界の患者さんに必要な時に送り治療することができます。

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